ERP導入プロジェクトで最もよくある失敗のひとつが、ベンダー選定の段階で「なんとなく印象がよかった」という理由で決めてしまうことです。提案書を受け取った後、どう比べればいいかわからず、最終的に担当者の感覚で決まる。その結果、稼働後に「思っていたのと違う」という問題が出てきます。この記事では、Vault LabMesh が実際に使っている評価マトリクスの作り方を紹介します。
評価基準を先に決める理由 ¶
提案書を受け取ってから評価基準を考えると、「一番印象に残った提案」に合わせた基準になりがちです。これを防ぐために、RFP(提案依頼書)を送る前に評価基準と重み付けを決めます。評価項目の例としては、機能適合度・導入コスト・保守費用・サポート体制・導入実績・カスタマイズの柔軟性などがあります。自社にとって何が最重要かを先に議論しておくことが、後の合意形成を楽にします。
評価マトリクスの作り方 ¶
評価マトリクスは、縦軸に評価項目、横軸にベンダー名を並べた表です。各項目に重み(パーセンテージ)を設定し、各ベンダーを1〜5点で評価して重み付きスコアを算出します。たとえば「機能適合度」の重みを30%、「サポート体制」を20%に設定した場合、機能適合度で5点を取ったベンダーは1.5点、サポートで3点なら0.6点、という形で合計スコアを出します。数値化することで、議論が「好き嫌い」から「根拠」に変わります。
デモンストレーションで確認すべきこと ¶
提案書だけでなく、必ずデモンストレーションを実施します。デモでは、自社の実際の業務シナリオを事前に用意し、そのシナリオをベンダーに操作してもらいます。「御社の標準デモ」ではなく「自社の業務でどう動くか」を見ることが重要です。デモ後に現場スタッフから「使いにくそう」という声が出た場合、それは重要なシグナルです。評価マトリクスの「操作性」項目に反映させます。
コスト比較の落とし穴 ¶
初期費用だけで比較すると、保守費用やカスタマイズ費用が後から膨らむことがあります。比較する際は、五年間の総所有コスト(TCO)で見ることを勧めます。また、「標準機能で対応できる範囲」と「カスタマイズが必要な範囲」を明確にしてから見積もりを依頼しないと、ベンダーによって前提が異なり、金額の比較が意味をなさなくなります。
最終選定の合意形成 ¶
評価マトリクスのスコアが出たら、それを経営層と現場担当者の両方に見せて議論します。スコアが高いベンダーが必ずしも最終選定になるわけではありませんが、「なぜスコアが低いのに選ぶのか」を言語化することで、意思決定の根拠が残ります。この記録が、後から「なぜこのベンダーにしたのか」という問いへの答えになります。
ベンダー選定は、ERP導入プロジェクトの成否を大きく左右します。Vault LabMesh では、評価基準の設計からデモ立ち会い、最終選定の合意形成まで一貫して支援しています。まずご連絡ください。